【臨床心理士】いつからあるの?どんな専門家?誕生の経緯からわかりやすく解説

臨床心理士① アイキャッチ

2021.11.23掲載
2022.05.18改定
2022.08.11改定

✔︎カウンセリング受けてみたい。でも臨床心理士ってちゃんとした資格なの?

✔︎臨床心理士に相談すると良いって聞くけど、どんな人なのかわからなくて不安!


✔︎そもそも臨床心理士に相談すると、何をしてくれるの?

こころの支援を求めたとき、まずイメージするのはカウンセリングではないでしょうか。そしてカウンセリングという言葉を調べていくと「臨床心理士」という資格に行き当たる。多くの方が辿る道だと思います。

でも、そもそも臨床心理士ってなに!?

一番不安を感じるポイントだと思います。結論からいうと、臨床心理士は、こころの支援に関わる民間の資格です。民間の資格といっても、病院や地方自治体が出す求人の出願要件にも含まれるほど、知名度と信頼がある資格です。そんな臨床心理士について詳しく、わかりやすく解説していきます!この記事を読むと臨床心理士誕生の経緯から、資格ができた意義まで理解することができます!

Writer

ライターは臨床心理士の有資格者です。資格取得後は教育領域の心理職と教育機関の講師の仕事に従事してきました!心理職としての実体験と、講師の仕事で鍛えた伝える力を活用してわかりやすい記事をお届けします!

それでは、内容を見ていきましょう!

目次

そもそも臨床心理士ってなに!?

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2019年に公認心理師ができるまでは、最も代表的なこころの支援に関する資格だった

実は、今は心理系の資格には「公認心理師」という国家資格があります。国家資格ができたということは、こころの支援の必要性を国が認めたということです。もちろん、それは簡単な道のりではありませんでした。

こころの支援の成果は目に見えにくいものですから、その必要性を人に伝えるのが難しいのです。しかし、「臨床心理士」は、こころの支援に関する資格の代表格として、地道な活動を積み重ね、社会的な信頼を獲得し続けてきました。つまり、こころの支援の必要性を世に伝え続けたのです。そうした不断の努力が、こころの支援に関する国家資格の誕生を支えました。

今は、多くの臨床心理士が公認心理師の資格を新たに取得して、ダブルライセンスで仕事をしています!

臨床心理士は民間の資格、でも、資格をとるのはとっても大変!

臨床心理士とは、「日本臨床心理士資格認定協会」によって交付される民間の資格です。

民間の資格といっても、実は取得するのはとても大変です。

臨床心理士の資格試験を受けるには、「指定大学院」と呼ばれる、臨床心理士を養成する大学院を卒業する必要があります。指定大学院は大変人気で、外部からの進学の場合、かなりの倍率になることもざらです。

大学院は、系列の学部からの持ち上がりの「内部進学」と、別の大学から入る「外部進学」があります!

臨床心理士が大学院で学ぶこと

大学院は2年間の課程です。しかも、勉強する場であると同時に、研究に従事する場でもあります。臨床心理士は、その2年間、こころの支援について勉強をしながら、心理学的な研究手法を学び、実際に修士論文というかたちで研究をします加えて現職の臨床心理士の仕事を見るための実習にも行き…とハードな生活を送ります!

資格試験自体は60%程度の合格率で、極端に合格難易度が高くはないですが、受験資格を得るのまでがとても大変な資格です!

臨床心理士の歴史

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約30年前に臨床心理士ができるまでは日本に心理学系の資格はなかった!

臨床心理士は1988年(約30年前)に誕生した、こころの支援に関する資格では、一番歴史のある資格です。

戦争が終わり、日本の経済が成長するにつれて、こころの支援に対する需要が高まりました。生きるのに必死だっ時代では、「こころ」に目を向ける余裕がなかったけれど、国が豊かになり、余裕が生まれることで、今までないがしろにされていた「こころ」の問題に注目が集まったというわけです。

すると、こころの支援に従事する実践家が増加しました。そうなると、次に課題になるのは、こころの支援をする人の質を向上させることと、学びの場を提供することです。

資格化はその課題を解決するひとつの方法です。といっても、すんなり資格ができることはなく、紆余曲折もあったようですが最終的に1988年にようやく「臨床心理士」資格が誕生しました。

臨床心理士が主に学ぶ「臨床心理学」は非常に若い学問です。次は、そのことについて見てみましょう!

臨床心理学はとっても若い学問

臨床心理士の資格も若いですが、そもそもカウンセリングや心理療法の歴史自体がとても若いです。

臨床心理学の祖とも言われ、各種心理療法の創始者のなかでも特に有名なフロイトは1856年から1939年までを生きた人です。大河ドラマで有名な新撰組が活躍した時代。ちょうど人々が着物から洋服に着替えだしていた頃です。

当然フロイト以降の著名人にはさらに若い人が多いです。そのため、講演会の映像が残っている方もいますし、心理療法の実演の様子がYouTubeで見れる人もいます

歴史上の人物の映像が見れるので、「織田信長が喋ってる!」くらいの感動があります!

臨床心理士資格ができた意義

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臨床心理士同士が共に学ぶ場所ができた

臨床心理士が仕事とする「こころの支援」に対する勉強は、資格取得で終わりになるわけではなく、その後生涯を通じて続きます。その生涯に渡る勉強の日々を、同じ資格を取得している臨床心理士仲間とともに歩んでいる人はとても多いです。

共に学ぶ人がいるからこそ、その道を歩いて行けるのかもしれません。

臨床心理士の資格ができたことで、そうした有資格者同士が相互に学び合う土壌を育むことに成功しました。資格の誕生を契機に、職能団体である臨床心理士会が全国に作られるようになったのです。

職能団体のなかでも医師会や弁護士会は有名ですよね。同じように、臨床心理士も資格化したことで職能団体を作ることができました。実は、さまざまな資格でこのような職能団体は作られていて、全国保育士会、日本栄養士会などたくさんの団体が組織されています。

臨床心理士会は、有資格者同士が「共に学ぶ場所」としてとても心強い存在です。臨床心理士会では、会のメンバーが主体となって、さまざまな研究会や勉強会が企画・運営されています。そうした研究会や勉強会は、臨床心理士が、自分の実践を見直す機会を提供したり、相互に知識や技術を高め合う貴重な「場」となっています。

こころの問題はとても複雑ですので、資格をとったから支援ができるようになるものでもはりません。臨床心理士は日々の学びを通じて、少しずつ自分のできることを増やして、専門性を高めながら、日々の実践に取り組んでいます。

「臨床心理士が実際どのようなことを勉強しているの?」というのは興味があるところではないでしょうか。その点については、別の機会に触れたいと思います。

今は、臨床心理士会の多くが「公認心理師協会」と名前を変更しています!

職能団体による情報発信は、臨床心理士の社会的信用を高めるのにとても役立った!

臨床心理士会のように、専門職が集まって運営しているような団体を職能団体と呼びます

職能団体にとって、社会に対して有資格者の活動や、活躍を発信することも大切な仕事のひとつです。一般の方にも購入できる雑誌や、日本各地の図書館に寄稿する広報誌など、さまざまな形式で、人目にふれるように臨床心理士の活動・活躍を発信します。

ひとつひとつは非常に地道な作業ですが、そうした活動を繰り返すことで、少しずつ臨床心理士の信用が高まり、最終的には、公的機関や医療機関などの求人の要件に「臨床心理士資格」が加わるほどにまで信頼されるようになりました。

求人の要件にするということは、公的機関や医療機関がこころの支援の専門家として臨床心理士を信頼しているということです。

おわりに

この記事では、臨床心理士という資格について、以下の点を解説しました!

✔︎臨床心理士は日本の心理的支援の黎明期を支えた資格の代表格!
✔︎臨床心理士は戦後発展した比較的若い資格!
✔︎資格ができたことで、臨床心理士同士が共に学び合う場「臨床心理士会」ができた!

記事の内容があなたのお役に立てると幸いです。

To be continued…

参考・引用

下山晴彦編(2009).よくわかる臨床心理学.ミネルヴァ書房.
田中富士夫編著(1996).臨床心理学概説.北樹出版.

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