2021.11.24掲載
2022.05.23改定
2022.08.12改定
✔︎臨床心理士に相談してみたいけど、どんな人だかわからなくて不安!
✔︎こころの支援を受けてみたい。だから、臨床心理士が何をしてくれる人なのか知りたい!
✔︎臨床心理士についてインターネットで調べてみたけど、みんな難しくて書いてあることがよくわからない!
こころの支援を受けたいと思った。臨床心理士っていう専門職がいることがわかった。
でも、実際、臨床心理士って何してくれるの?
多くの方が抱く疑問です。臨床心理士は、①臨床心理査定②臨床心理面接③臨床心理的地域援助④上記3つに関する調査・研究という、4つの専門的なお仕事をする人です。
この記事では、このなかから①臨床心理査定②臨床心理面接について詳しく説明します。①臨床心理査定は、「相談に来た人について知ろうとする」そして「相談に来た人と一緒に何ができるか考える」ことで、②臨床心理面接は、いわゆる「カウンセリング」です。記事を読むことで、①臨床心理査定 ②臨床心理面接 について詳しく理解できます!
※③臨床心理的地域援助④上記3つに関する調査・研究については、こちらの記事をご覧ください!
ライターは臨床心理士の有資格者です。資格取得後は教育領域の心理職と、専門学校や大学の講師の仕事をしてきました。心理職としての実体験と、講師の仕事で鍛えた伝える力を駆使してわかりやすい記事を書いていきます!
それでは、早速内容に入りましょう!
臨床心理査定
臨床心理査定について
簡潔にいうと、臨床心理査定とは「クライエントについて知り、どのような支援ができるか仮説を立てること」です。
公式のHPでは、次のように説明されます。
(略)臨床心理査定とは、種々の心理テストや観察、面接を通じて、個々人の独自性、個別性の固有な特徴や問題点の所在を明らかにすることを意味します。また、同時に、心の問題で悩む人々をどのような方法で援助するのが望ましいか明らかにしようとします。
日本臨床心理士資格認定協会HP
以下、詳しく解説していきます!
臨床心理査定ではまず「クライエントについて知ろうとする」
臨床心理査定は、大きく2本の柱でできています。
1本目の柱は「クライエントについて知ろうとする」です!
困っている人を助けようとしたとき、だいたいの専門職は目の前の人が何に困っているか知ろう(査定しよう)とします。
例えば、お医者さんなら身体の悪い部分を見つけようとします。プログラマーだったら、動かなくなってしまったプログラムのどこにエラーが出ているか探します。
実は、臨床心理士は、ちょっと違った視点で目の前にいるクライエントを知ろうとします。臨床心理士の査定は、クライエントの問題点だけではなく、強みや今いる環境も含めて概観して、これからどのような支援ができるのかについて仮説を立てます。お医者さんやプログラマーは悪いところを見つける。つまり、点を探す作業ですが、臨床心理士は悪いところだけじゃなく、目の前にいる人(クライエント)全体を見る。つまり、線で相手を見るのです!
例えば以下のようなことを考えます。
◯この人はどんな人なのかな?
◯何に困っているのかな?
◯いつから困っているのかな?
◯今、心はどんな状態かな?
◯この人のどんなことができる人なのかな?
◯この人を助けてくれる人は周りにいるのかな?
こうしたクライエントを知ろうとするための行為はとっても幅広く、たとえば次のような方法があります!
- 対面で、何に困っているのか語ってもらう。
- こころの状態についてのアンケートを書いてもらう。
- 相談しに来た人に絵を描いてもらう。
- 言葉でやりとりができない場合は、行動を観察する。
- 相手が子どものときは、保護者から情報を聞きとる。
そのため、臨床心理士は、「クライエントにどんなことを質問すると、的確な情報が得られるかな?」「クライエントが描いた絵のどこをどう見ればその人のことがわかるのかな?」「クライエントを観察するときは何をどう観察すれば良いのかな?」など、たくさんのことを勉強しています。
臨床心理査定では「相談に来た人に何ができるか考える」
2本目の柱は「相談に来た人に何ができるか考える」です。
臨床心理士は、クライエントが「元気になる」ために心理的な支援を行います。そのため、臨床心理査定では、相談に来た人について知ることと同時に、クライエントにどのような支援ができるかということも考えます。
たとえば次のようなことが方法として挙げられます。
- カウンセリングを通じてゆっくり自分のこころと向かい会う時間を作る。
- 同じ悩みを抱えている人たちの会を紹介して仲間たちと支え合うことができる環境を整える。
- 医療の支援が必要な場合は、適切な病院を紹介する。
- 当事者の家族が相談に来ているときは、当事者の抱える問題に対して、どう接したら良いか助言をする。
心理的な支援は継続的に行われることが多いです。その期間は、数ヶ月から場合によっては数年間行われることもあります。そうすると、時間が経つにつれてクライエントの悩み事や困りごとが変わっていくことももあります。そんなときは、その都度「何ができるか」を考えなおしていきます。
臨床心理面接
臨床心理面接について
臨床心理面接は、カウンセリングや心理療法のことです。臨床心理士の仕事として一番イメージし易いのが臨床心理面接ではないでしょうか。
臨床心理面接について、公式のHPでは次のように説明されています。
日本臨床心理士資格認定協会HP
臨床心理面接とは、臨床心理士とクライエント(相談依頼者)との人間関係が構築される過程で”共感””納得””理解””再生”といった心情が生まれる貴重な心的空間です。そして来談する人の特徴に応じて、さまざまな臨床心理学的技法(精神分析、夢分析、遊戯療法、クライエント中心療法、集団心理療法、行動療法、箱庭療法、臨床動作法、家族療法、芸術療法、認知療法、ゲシュタルト療法、イメージ療法など)を用いて、クライエントの心の支援に資する臨床心理士のもっとも中心的な専門行為です。
わかりやすく説明していきます!
カウンセリングや心理療法にはさまざまな実践があります
カウンセリングや心理療法には様々な実践があります。なかでも一番思い浮かべやすいのは、相談室でクライエントとカウンセラーが1対1で話をする形式ではないでしょうか。
実は、臨床心理士が行う臨床心理面接は必ず1対1で行うわけではありません。例えば禁煙のグループなど、当事者同士で支え合うよう構造のものは、集団で行われ、臨床心理士はサポーターのような立場で加わります。
そのほかにも、当事者だけではなく、当事者の家族に対する面接が行われることもあります。このときは、カウンセリングというよりも、当事者とどう接したら良いかといったコンサルテーション的な支援をすることも多いです。
カウンセリングや心理療法には様々な流派がある
最後に、カウンセリングや心理療法にはたくさん流派があるという話をしたいと思います。
例えば武道にも、柔道、合気道、空手などさまざまな流派がありますが、カウンセリングや心理療法も同じです。
例えば、次のような流派があります。
- 精神分析
- クライエント中心療法
- 行動療法
- 認知行動療法
- 集団精神療法
カウンセリングや心理療法は、流派が違うとこころについての考え方がそれぞれ違いますし、こころの問題に対するアプローチも異なります。臨床心理士は、自分に合う心理療法や、縁があった心理療法を見つけて、長い時間をかけて学んでいます。
どんな流派があるかというお話は、また別の機会に解説します!
おわりに
この記では、臨床心理士のお仕事のうち、①臨床心理査定と②臨床心理面接についてまとめました。
ポイントは次の通りです!
✔︎臨床心理査定ではまず「相談に来た人について知ろうとする」。
✔︎臨床心理査定では「相談に来た人と一緒に何ができるか考える」。
✔︎臨床心理面接はカウンセリングや心理療法のこと。
✔︎カウンセリングや心理療法は1対1に限らず、集団で行うものもある。
✔︎カウンセリングや心理療法はたくさんの流派がある。
あなたのお役に立てると幸いです!
To be continued…