2021.11.29掲載
2022.05.27改定
2022.08.13改定
✔︎公認心理師に相談してみたいって思った。でも、どんな資格かよくわからなくて不安だな。
✔︎学校のスクールカウンセラーは公認心理師さんなんだって。どんな人なのかな!?
✔︎毎日辛くて、こころの専門家に相談したい!けど、公認心理師ってどんな人!?
最近、公認心理師という資格ができました。こころの支援者に与えられたはじめての国家資格です。
でも、公認心理師ってどんな人なの?相談して大丈夫!?
公認心理師は臨床心理士と同じく、信頼できる資格です。最近では少しずつ資格を持った支援者も増えてきました。とはいえ、まだ新しい資格ですから、そこまで情報が多くはありません。
公認心理師には①要心理支援者の心理アセスメント②要支援者に対する援助③要支援者の関係者に対する援助④こころの健康に関する情報提供という4つの専門業務があります。この記事では、そのなかでも①要心理支援者の心理アセスメント②要支援者に対する援助③要支援者の関係者に対する支援を扱います。記事を読むことで、公認心理師のお仕事を簡単に理解することができます!
ライターは公認心理師の資格を持っていて、教育領域の心理職と専門学校や大学の講師の仕事をしてきました!心理職としての実体験と、講師の仕事で鍛えた伝える力を駆使して、わかりやすい記事を書いていきます!
それでは、内容を見てみましょう!
要心理支援者の心理アセスメント
心理アセスメントってなに?
心理アセスメントとは、要心理支援者が抱えている問題について、原因だけでなく、本人の持っている強みや、周囲の環境についても総合的に概観して、どのような支援ができるか仮説を立てることをいいます。
心理アセスメントは、要心理支援者について知り支援の仮説を立てること
心理アセスメントについて説明するときによく比較対象とされるのが、お医者さんの診断です。
例えば、インフルエンザになったとき、お医者さんはインフルエンザウィルスを発見して、特効薬を処方して、ウィルスを退治しようとしますよね。このように、お医者さんは、診断という行為を通じて患者さんを困らせている問題の原因を見つけて、どう除去するかを考えます。
こころの問題の場合、要心理支援者を苦しめる原因は基本的に取り除けないです。そうすると、要心理支援者は、こころを苦しめる原因を抱えながら生きていかなくてはなりません。心理アセスメントでは、公認心理師は要心理支援者の抱える問題や性格的な弱みだけでなく、強みや、周囲にはどのような助けてくれる人がいるかということまで把握します。そして、それらの強みや環境の助けを活かして、要心理支援者が、自身の抱える問題とどう付き合っていけば良いかを考えます。
心理アセスメントではどんなことを把握するの?
心理アセスメントでは、具体的につぎのようなことを把握していきます。
- 要心理支援者の苦手なこと(人間関係を続けるのが苦手 など)
- 要心理支援者の得意なこと(地道にコツコツと仕事をするのが得意 など)
- 要心理支援者の抱えている問題(精神疾患がある、家族に問題を抱えている など)
- 要心理支援者を助けてくれる人はいるか(両親、兄弟、地域の人、福祉 など)
- 要心理支援者が今までどのように問題に取り組んできたか(いつも耐えていた など)
このような情報をヒントにして、要心理支援者にはどのような支援が適切か考えていきます。
要心理支援者に対する援助
公認心理師はカウンセリングだけでなく心理の専門家としての助言や指導も行える
こころの支援というと、カウンセリングをイメージする方が多いと思います。もちろん、カウンセリングは公認心理師の大切な仕事です。しかし、公認心理師の場合はそれ以外にも強調されているものがあります。それが、要心理支援者に対する「助言や指導」です。
助言や指導の具体例
例えば、次のようなときに「指導や助言」によるこころの支援が行われます。
ある不登校の生徒の支援を考えてみましょう。ずっと不登校だった生徒が学校に行ってみたいと思ったとき、いきなり朝から教室に入って1日過ごすのは負担が大きいですよね。
とくに児童の場合は自分で上手に力加減ができないことも多いものです。せっかく勇気を出して学校に行ったのに、頑張りすぎてしまうと、大きな疲労感を抱えてしまい登校が続きません。
そんなとき、公認心理士は、どういうステップを踏んでいくと無理なく学校に復帰できるか、アイディアを出すことができます。例えば、「まずは職員室に顔を出すところから始めよう」とか「最初の一週間は午前中だけ登校しよう」などです。
そんなアイディアを共有して、なにが最善か生徒と一緒に考えることができます。
助言や指導がなぜ必要か
公認心理師は、いろいろな事例をみてきていますから、たくさんの「支援の引き出し」持っています!
カウンセリングや心理療法は、自分のこころと向かい合う作業です。そのため、人によってはたいへんな負担になります。ですから、こころの問題に悩んでいる人、全員に役に立つというわけではありません。むしろ害になったしまう人もいます。そうした人には、公認心理師が学んできた心理学やこころの元気に役立つ情報をお伝えすることでサポートを試みます。
例えば、次のような助言や指導があり得ます。
- こころの調子を整えるには、まず生活リズムを整えてみると良い。
- 不安でどうしようもない日が続くなら、一度病院に行ってみると良い。
- 出勤するのが辛いと感じているなら、一度産業医に相談してみると良い。
- こころに作用する薬は、きちんと飲む量を守った方が良い。
こうした情報提供も、ときに重要なこころの支援になり得ます!
要心理支援者の関係者に対する援助
要心理支援者の関係者に対する援助はコンサルテーション
コンサルテーションとは、「ある領域の専門家が別の領域の専門家に対して助言・指導をすること」です。公認心理師の場合は、心理の専門家である公認心理師が、心理以外の領域の専門家に対して助言や指導を行います。
例えば次のような人がコンサルテーションの対象になります。
- 要心理支援者の親・兄弟・配偶者など家族(要心理支援者について一番詳しい人達)。
- 学校の先生や保育者など要心理支援者の身近にいる大人(教育や保育の専門家)。
- 職場の上司や同僚など、要心理支援者が社会生活のなかで関わる人(ある職種や組織運営の専門家)。
公認心理師にとっての「別の領域の専門家」は、職業的な専門家から家族まで、かなり幅広く捉えられます。
コンサルテーションの具体例
コンサルテーションの具体的な例を挙げてみます。
ケース1
子どもが学校に行けなくなってしまったという保護者の相談を聞いて「今は元気がないから少し休ませた方が良いと思う」や、「少し休んで元気が戻ってきたように思うから、少し学校の話をしてみたらどうだろう」といった助言をする場面。
ケース2
クラスで授業中じっとしていられなくてうろうろしてしまう子どもがいると困っている先生の相談を聞いて、「じっとしていたくてもいられない事情があるなら、例えば授業中の配り物係に任命することでクラス公認の「うろうろ」にできるかもしれない」といった助言をする場面。
おわりに
今回の記事では、公認心理師のお仕事のなかから①要心理支援者の心理アセスメント②要支援者に対する援助③要支援者の関係者に対する援助について解説しました。
記事のポイントは次の通りです!
✔︎心理アセスメントでは、要心理支援者が大変さを抱えながらどう生きるか、一緒に考える準備をする。
✔︎公認心理師は、カウンセリングだけではなくこころの健康に関する「助言や指導」もしてくれる。
✔︎公認心理師は、要心理支援者とどう関わったらよいか、関係者に「助言や指導」ができる。
あなたのお役に立てると幸いです!
To be continued…
参考・引用
厚生労働省HP
一般財団法人日本心理研修センター.公認心理師現任者講習会テキスト[改訂版].金剛出版.