【アサーショントレーニングとは】苦手な人付き合いが楽になる!自分も相手も大切にできる自己表現を身につける

2021.12.23掲載
2022.06.21改定

✔︎我慢して、我慢して、最後に爆発しちゃう!こんな自分をどうにかしたい!

✔︎何か頼まれたとき、断るのがすごく苦手で胃が痛くなる!

✔︎自分の意見を言ってるだけのつもりなのに、いつも友達とギクシャクしちゃう!

人と関わるのって、バランスが難しい…

自分の意見を伝えると相手とぶつかっちゃう。でも、言わないと我慢が募って大変になる。

人間関係って、何してもストレス!

そう考えて、人間関係の輪の中から外れたいと考える方、とっても多いと思います。でも、学校に職場に、生活していくためには、人との関わりは絶対避けられない…

だったらせめて上手に関われるようになれないかな!?

結論から言います。上手に関わる方法はあります。しかも、どうしたら上手に関わることができるのか、教えてくれるトレーニングプログラムまでちゃんとあります!そのプログラムの名前は「アサーショントレーニング」自分も相手も大切にできる自己表現の方法を教えてくれる、私たちの強い味方です!

この記事では、手始めにアサーショントレーニングとは何かについて解説していきます。記事を読むと、アサーショントレーニングの全体像を掴むことができます!

Writer

ライターは臨床心理士の資格を持っていて、心理職として仕事をしてきました。心理職のお仕事には、講演や特別授業を通したこころの元気に役立つ情報発信も含まれます。なかでも、「人付き合い」や「人との関わり方」といったテーマは、僕が「きっとみんなの役に立つ」と信じて発信してきた情報のひとつです。今回はその内容を記事にしてまとめていきたいと思います!

アサーショントレーニングについて、わかりやすく解説していきます!

目次

アサーショントレーニングってなに?

アサーション

アサーショントレーニングの定義

アサーショントレーニングとは、「自分も相手も大切にできる関わり方を訓練する」ものです。

アサーショントレーニングの「アサーション」は、もともとアメリカの心理学者が提唱したものです。日本にアサーショントレーニングを持ち込んで広めたのは平木典子先生という方で、アサーショントレーニングの定義を次のように紹介しています。


(アサーションの提唱者は)人間関係の持ち方には、大きく分けて3つのてイプがあると言っています。「第一は、自分のことだけ考えて、他者を踏みにじるやりかた、第二は、自分よりも他者を優先し、自分のことを後回しにするやりかた、第三は、第一と第二のやり方の黄金率とも言うべきもので、自分のこともまず考えるが、他者をも配慮するやり方です」アサーションとは、この三種類の対人関係の持ち方の中では、第三のやり方を言います。

平木典子(1993).アサーショントレーニング-さわやかな自己表現のために-.日精研心理臨床センター.より引用

定義を要約すると

定義だと少し堅いので、要約しますね。アサーションとは、自分も相手も大切にできる関わり方です。

そして、アサーショントレーニングでは、あなたが人と関わる方法には、次の3つの種類があると言っています。

✔︎1つめの関わり方は「攻撃的な関わり方」

✔︎2つめの関わり方は「非主張的な関わり方」

✔︎3つめのの関わり方は「アサーティブ(アサーション的)な関わり方」

この3つめの「アサーティブな関わり方」というのが自分も相手も尊重できる関わり方」です!

人は、基本的に「攻撃的な関わり方」と「非主張的な関わり方」に偏った自己表現をしています。そうして人との関わり方に悩む人が「アサーティブな関わり方」ができるようになることを目指してトレーニングする。それがアサーショントレーニングです!

では、そのことについて少し詳しくみてみましょう!

全ての人は「攻撃的」もしくは「非主張的」なタイプに分けられる!

戦わずにはいられない

「攻撃的」「非主張的」それぞれのタイプについて詳しく見てみる

アサーショントレーニングでは、人との関わり方には「攻撃的」「非主張的」「アサーティブ」の3つがあるとされています。そして、全ての人は基本的に「攻撃的」「非主張的」な関わり方をします

それぞれのタイプについて、「攻撃的なタイプ」は「バーサーカータイプ」、「非主張的なタイプ」は「シールドソルジャータイプ」と喩えると、とってもわかりやすいです!

僕なりに解釈して解説していきますね。

「攻撃的」なあなたはバーサーカータイプ!

バーサーカー

「バーサーカー」は軍人オーディンの祝福を受けた戦士たちです。「狂戦士」という漢字を当てられることもあるように、戦闘になると我を忘れて敵味方の区別なく、襲いかかり、戦い続けます。そして、戦闘が終わると、まるで抜け殻になってしまったかのように、茫然自失の状態になってしまいます。

「バーサーカータイプ」のあなたは、自分のコミュニケーション・ステータスを攻撃に全振りしています。

例えば、次のように同僚から理不尽に仕事を押し付けられたとき。

こんな仕事やっても評価されないから、あなた代わりにやってよ。
僕はもっと評価される仕事したいから。

は!?
なんで俺がそんなことしなくちゃなんなんだ!
自分の責任も果たせないのかよ!
その程度の人間なんだな!
俺はやらないぜ!

バーサーカータイプのあなたは、「非難」「皮肉」「侮辱」といった刄で相手を徹底的に攻撃してしまいます。

このとき、あなたの胸の内では次のようなことが起こっているかもしれません。

バーサーカーの叫び

非主張的なあなたはシールドソルジャータイプ

盾戦士

「シールドソルジャー」は、その名の通り、守りに特化した盾の戦士達です。戦乱の世、将軍から「その身を盾にして敵を食い止めよ」と使命を授けられ、陣形の最前線に配置されて、敵方騎馬兵の突進を身を呈してに食い止める役目を担っていた、あの「命を盾に戦うことを強いられた悲しい戦士たち」です。

「シールドソルジャータイプ」のあなたは、自分のコミュニケーション・ステータスを防御に全振りしています。

例えば、次のように同僚から理不尽に仕事を押し付けられたとします。

こんな仕事やっても評価されないから、あなた代わりにやってよ。
僕はもっと評価される仕事したいから。

う、うん、わかった。
(ほんとはやりたくないけど
そんなこと言ったらどう思われるか不安だから)

「シールドソルジャータイプ」のあなたは、このように、自分の気持ちや不安をこころの内に堅く閉じ込め、決して表に出さぬ覚悟を身に纏い、必死に盾を握りしめ、相手の主張を受け止めてしまいます。

このとき、あなたの胸の内では次のようなことが起こっているかもしれません。

どうせダメだ!

どちらのタイプにも苦しさはある!

「バーサーカータイプ」と「シールドソルジャータイプ」、どちらのタイプにも固有の苦しさがあります。

「シールドソルジャータイプ」は、嫌な気持ちを溜め込んで溜め込んで、次第にこころが弱っていきます。「じゃあバーサーカータイプはなんでも表現できるから楽?」というとそうでもありません。「バーサーカータイプ」は、攻撃的である分、周囲と衝突することも多いですし、「あの人はすぐ怒るから関わりたくない…」「理不尽にキレられるからやだ…」と集団のなかで孤立して寂しさを抱えることも多いです。

なんでこんな生きづらさを抱えているの?

はじめは生き残るためだった

そこには生き残るための歴史があるから

なぜ、私たちはわざわざこのような生きづらさを抱えているのでしょうか。

その理由は、その人が生き残るため必死に努力した歴史がそこにあるからです。

日本にアサーショントレーニングを広めた平木先生は、著書のなかで、人が「攻撃的」になってしまう、もしくは「非主張的」になってしまう理由について、次のように述べています。


毎日の生活のなかで不安、緊張、孤独感などで心が落ち着く余裕がないからだ

平木典子(2007).自分の気持ちをきちんと〈伝える〉技術.PHP.より引用

なぜ落ち着く余裕がないと「攻撃的」もしくは「非主張的」な関わり方になるのか。

それは、人が「不安」「緊張」「孤独感」を抱えながら生き延びるためにそうせざるを得なかったからです。

私たちのコミュニケーションのパターンは、小さい頃から積み重ねられた「人との関わり」の経験によって育まれます。そして、その「人との関わり」のなかで「不安」「緊張」「孤独感」は生じます

「バーサーカータイプ」の人はそうした気持ちを抱えながら

バーサーカーの生き残り

「シールドソルジャータイプ」の人は

こう感じる経験が多かったということです。

これはなにも、生きるか死ぬかの瀬戸際の世界に限られた話ではありません。例えば次のように、どこにでもある生活環境のなかでもこうした生き残るための戦いは繰り広げられています

✔︎兄弟と親の愛を巡って争うとき。

✔︎親から良い子と思われたくて、親の期待に沿った行動をしようとするとき。

✔︎クラスでの自分の地位を確立するために戦うとき。

✔︎先生に可愛がってもらうために、いい子を演じるとき。

クラスや職場、友人グループの覇権争いは壮絶な戦いですよね!

実は、僕たちは戦っているわけじゃない!!

あの頃に戻れる

戦いの幕を引く、それがアサーショントレーニング!

こうした歴史の積み重ねがある分、私たちが身につけている「攻撃的」「非主張的」な人との関わり方は、こころの根幹に近いところまで浸食しています。ですから、簡単にどうにかなるものでもありません。しかし、アサーショントレーニングは、そんな戦いに終わりを告げ、平和な人との関わり方を模索するために力を尽くしています!

そもそも、私たちは人と関わっているのであって、決して戦っているわけではありません。しかし、繰り広げられてきた戦いの歴史から、私たちは、「戦い」以外の関わり方を知らないのです。

どうすれば矛や盾を収めて戦い以外の関わり方ができるのか。

平木先生は、その方法として次の5点を挙げています。

①自分の気持ちを把握する。
②結果や周囲を気にしすぎない。
③自分の権利をきちんと使う。
④自分の考えや気持ちを大切にする。
⑤アサーションのスキルを取得する。

平木典子(2007).自分の気持ちをきちんと〈伝える〉技術.PHP.の内容を参考に作成

アサーショントレーニングでは、この「5つの理由」を軸に、具体的な人との関わり方の技術がいくつも紹介されています!

このブログでは、そんな技術をわかりやすく具体的に解説していきます!

おわりに

この記事では、「自分も相手も大切にできる関わり方」を教えてくれるアサーショントレーニングについて解説してきました。

ポイントは次の通りです!

✔︎アサーションは「自分も相手も大切にできる」関わり方!
✔︎全ての人は「攻撃的」「非主張的」な関わり方をしている!
✔︎関わりのなかで戦ってしまうのは、人生のなかで戦いの歴史があるから!
✔︎アサーショントレーニングを学べば、戦いの歴史に終わりを迎えられる!

この記事があなたのお役に立てることを願っています!

To be continued.

参考・引用

平木典子(1993).アサーショントレーニング-さわやかな自己表現のために-.日精研心理臨床センター.
平木典子(2007).自分の気持ちをきちんと〈伝える〉技術.PHP.

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この記事を書いた人

License:臨床心理士/公認心理師
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