【DESC法】断るのが苦手なあなたへ!アサーションから学ぶ、お願いされたときの上手な対処

DESC法アイキャッチ

2022.01.02掲載
2022.06.22改定

✔︎同僚の誘い、本当は断りたいのに断れない!いつもストレス!

✔︎先輩の仕事の無茶振りに対応しきれない!いつもキャパオーバーになっちゃう!

✔︎頼まれると断れなくって…いっつも貧乏くじ!もう嫌だ!

「お誘い」「仕事の依頼」「頼まれごと」…集団のなかで生活していると、こうして誰かの「お願い」を聞かなくちゃいけないときがある。断ったらなんて思われるかな…そう考えちゃってついつい引き受けてしまう。

でもね、本当は断りたいんだよ!!

そうして悩んでいる方、たくさんいます。でも、この記事に辿り着いたあなたはもう大丈夫。「お願い」されたときの上手な対処方法をお教えします!

私たちは幼い頃から「断れない」をプログラムされています。ですから、「断る」ことに苦手意識を持つのは当然です。でも、だからといって全てを受け入れていたらこころも身体も壊れてしまいます。そうならないように「交渉」する。「交渉」するのも楽じゃない。でも、「断る」よりもずっと簡単です!

加えて、「交渉」は、お願いする人、される人の折り合いをつける作業ですから、無理に突っぱねて(断って)人間関係に亀裂が入ることも防げます!

アサーショントレーニングでは「DESC法」という、交渉のテンプレートがあります。テンプレートを抑えれば、交渉が苦手というあなたも、さっそく明日からチャレンジしてみることができますよ!この記事を読むと、明日から使える交渉のテクニックを覚えることができます!

アサーショントレーニングって何!?という方は、こちらの記事をご覧ください!

Writer

ライターは臨床心理士の資格を持っていて、心理職として仕事をしてきました。心理職のお仕事には、講演や特別授業を通したこころの元気に役立つ情報発信も含まれます。なかでも、「人付き合い」や「人との関わり方」は、僕が「誰かの役に立つ」と信じて発信してきた情報のひとつです。今回はその内容を記事にしてまとめていきたいと思います!

僕も断るの、大の苦手です!

目次

DESC法ってなに?

交渉する

DESC法は交渉のテンプレート!

DESC法は、交渉のテンプレートです!

誰かに「お願い」されたとき、「断る」というのは、自分にとっても相手にとってもこころに大きな負荷がかかります。でも、「交渉」することで、「お願いする人」「お願いされる人」双方のこころの負担が軽くなります。その理由は、次の2つです!

✔︎NOと「言わない」し「言われない」からこころにダメージを受けにくい。
✔︎双方の「折り合い」がつく場所を探すから、お互い満足のいく結果に辿り着く可能性がある。

でも、いきなり「交渉しよう!」と言われてもできないですよね。そこで、アサーショントレーニングでは、交渉のテンプレートを用意しています。それが「DESC法」です!

DESC法にのっとって話ができれば、とりあえず交渉の構造を作り上げることができます!

では、早速テンプレートを紹介しましょう!

DESC法のテンプレート

DESC法のDESCは、それぞれD:Describe(描写する)、E:Express/Explain/Empathize(表現する、説明する、共感する)、S:Specify(特定の提案をする)C:Choose(選択する/選び取る)の略です。下にそれぞれの詳細を解説していきます!

DESC法の「D」はDescribe(描写する)の「D」!

自分の今の状況や相手の行動を描写します。
客観的かつ具体的に描写できると良いです。

DESC法の「E」はExpress/Explain/Empathize(表現する、説明する、共感する)の「E」!

自分の状況や相手の「お願い」に対する主観的な気持ちを表現したり、説明したり、相手の気持ちに共感したりします。
その際、あまり感情的にならずに述べるのがポイントです。

DESC法の「S」はSpecify(特定の提案をする)の「S」!

行動、妥協案、解決策などを提案します。
提案は具体的現実的なものが好ましいです。

DESC法の「C」はChoose(選択する/選び取る)の「C」!

提案を受け入れてもらえたらそれで良し。受け入れてもらえなかった場合は、替わりの選択肢を示します。
その選択肢は具体的で実行可能なものであり、かつ相手の意向も汲んだものにしましょう。

では、次に実際の活用例を見てみましょう!

DESC法の活用例

飲み会に誘われたときのDESC法

それでは、まずは飲み会に誘われたときに、DESC法を使って交渉する場面を見ていきましょう!

D:Describe(描写する)

ねえねえ!今日みんなで飲みに行くんだけど、あなたもおいでよ!

D:描写する
飲み会のお誘い、ありがとうございます!

 「飲み会に誘ってくれた」という状況を描写します。

E:Express/Explain/Empathize(表現する、説明する、共感する)

E:表現する、説明する、共感する
いつも誘ってもらえて嬉しいです!
実は、今週は大学の友人が遠くから会いにきてくれる予定で先約が入ってしまっているんです。

「嬉しい」気持ちを表現しながら、「自分の状況」を説明する。
※このとき、相手に納得してもらうために多少オーバー(遠くから会いに来てくれるなど)に話をしても良いと思います。

S:Specify(特定の提案をする)

S:特定の提案をする
今日は出席できないんですけど、また誘っていただけますか?

「今回はいけないけど次は行く」という妥協案を提案する。

C:Choose(選択する/選び取る)

提案に対して、相手がどのような反応をするかによって最後の「C」が変わります。

案を受け入れてもらえた場合

良いわよ!じゃあまた誘うね!

C:選択する/選び取る
ありがとうございます!またよろしくお願いします!

「提案の結果」を素直に選び取ります。

案を受け入れてもらえなかった場合

実は、ちょっとみんなに大事な話がしたくて、どうしても顔出して欲しいんだよね

そんなときは、次のように「変わりの選択肢」を提示します。

C:選択する/選び取る
でしたら、19時まででしたら出席できそうですが、いかがですか?

それで大丈夫!予定あるのにごめんね!

無理な仕事を頼まれたときのDESC法

では、次に仕事を頼まれたときにDESC法を使って交渉する場面を見ていきましょう!

D:Describe(描写する)

ねえ、明日までにこの仕事をやっておいてもらいたいんだけど、あなたにお願いしてもいいかしら?

D:描写する
こちらの仕事を明日までにということですね。

「仕事を頼まれた状況」を描写する。

E:Express/Explain/Empathize(表現する、説明する、共感する)

E:表現する、説明する、共感する
お声かけくださってありがとうございます!
実は(「でも」とは言わない)、今〇〇さんからもこのような仕事を頼まれていて、余裕がない状況なんです。

「頼ってもらったことに対する『お礼の気持ち』」を表現しながら、「自分の仕事の状況」を説明する。
※このとき「でも」という言葉を使うと否定的なニュアンスが含まれるので、あまり使わない方が良いと思います。

S:Specify(特定の提案をする)

S:特定の提案をする
数日お時間をいただきたいのですが、いかがでしょうか。

「期日を伸ばす」という妥協案を提示する。

C:Choose(選択する/選び取る)

案を受け入れてもらえた場合

大丈夫よ!お願いするわね!

くぬぎ

C:選択する/選び取る
ありがとうございます!では仕事が終わりましたらまたお声かけします。

提案を受け入れてもらえた場合、「提案の結果」を素直に選び取ります。

案を受け入れてもらえなかった場合

どうしても明日までじゃないといけないのよね。
なんとかならないかしら。

そんなときは、次のように「替わりの選択肢」を提示します。

くぬぎ

C:選択する/選び取る
でしたら、資料作りは私が担当しますので、名簿と諸連絡は他の方にお願いできないでしょうか。

わかったわ、じゃあ〇〇さんにも声かけてみるわね。
資料作りは頼むわね。
忙しいのにありがとう!

解説

断っても良い

私たちは断れないように作られている!

「断る」ことに苦手意識を持っていない人はいないはずです。それは、私たちが育ってきた文化に関係しています!

私たちは、小さい頃から

✔︎言うことを聞く子が良い子!
✔︎言われたことを守れる子が利口さん!

と言われて育っています。ですから

誘いや依頼は断ってはいけない!

という根本的な価値観を抱えています。だから、私たちは言うことを聞かないことに罪悪感を感じるようになってしまっています。

✔︎言うことを聞かないのは悪い子
✔︎言われたことを守らないのはおばかさん

このように、誘いや依頼を「断る」のは「悪い子」で「おばかさん」がするという考えが根っこにあるわけですから、断れることが得意であるはずがありません
しかし、大人になると、いろいろな理由で断った方が良い誘いや依頼もたくさん出てきます

でも、頭ではわかっていても、私たちのこころはそこに追いつきません

断ったら、どう思われるかな・・・

なんて考えてしまいます。

だから結局

あーあ、また飲み会きちゃった

となってしまう。たとえ勇気を振り絞って断ったとしても

こんな仕事できません!

なんて極端に相手を拒絶するような言い方になってしまいます。

DESC法は、我慢はしない。でも、相手を傷つけるような拒絶もしない。そんな「自分も相手も大切にできる関わり方」のテンプレートです!

「断らずに交渉する」それがDESC法!

DESC法は、「断る」のではなく「交渉する」のテンプレートです!

「交渉する」のもエネルギーが必要で案外大変な作業です。しかし、断っているわけではないですし、なんとか相手に歩み寄ろうと努力をします。ですから、こころが感じる負担はずっと少ないと感じる方も多いようです。

このように、「断らない」けど「自分も大切にする」方法がDESC法を使った交渉です!

大切なのは山場に向けての地ならし作業!

DESC法の一番の山場は、最後の「C:選択する/選び取る」です。あなたの提案は、必ず相手に受け入れてもらえるとは限りません。もし例え受け入れてもらえなかったとしても、諦めずに妥協案を探ることが大切です。それが交渉です!

さて、その最大の山場である「C:選択する/選び取る」を、最も良いかたちで迎えるために大切になってくるのがDESC法における「D:Describe(描写する)」「E:Express/Explain/Empathize(表現する、説明する、共感する)「S:Specify(特定の提案をする)」です。

「D」「E」「S」はただの枕言葉やクッションワードではありません。

現状を相手と共有して(D)」「自分の状況を理解してもらう(E)」「そのなかで今考えられる最善の提案をする(S)」という、地ならし作業なのです。

この地ならし作業を丁寧にすることで、相手がどれだけ譲歩してくれるかが決まります。

DESC法、うまくできるかな?そんな心配を抱えるあなたへ

テクノロジー

直接じゃなく「メール」という選択肢

直接交渉するのが大変だったら、メール(LINEも可)を活用するしちゃいましょう!

「断るのが苦手」という人は「面と向かってやりとりすると勢いで押されてしまう」と心配しているのではないでしょうか。

友人でも難しいのに、仕事の関係となると、さらに断りずらさが強くなりますよね。

僕もそういうタイプです!

しかし、そんなあなたも、メールのように文章でのやりとりでしたら、少し楽な気持ちで交渉に臨めます!

具体的には、次のように対応してみると良いです!

何かを依頼されそうになったら

もし、誰かがあなたにお願いしそうな雰囲気を出してきたら…

✔︎すみません、今バタバタしているのであとでメールいただけますか?

✔︎ごめんなさい、今スケジュール帳がないので、あとで要件をメールしていただけますか?

と返答してみると、案外「わかりました!」と言ってもらえるものです。

直接要件を言われてしまったら

もし、「メールでお願いします」と言う前に依頼されてしまったら…

✔︎ちょっとすぐにはお答えできないので、あとでメールします!

✔︎すみません。今スケジュールの確認ができないので、あとでメールさせてもらいます!

と返答すればメールのやりとりにもちこめます。

メールでやり取りするメリット

メールでやりとりにするという方法には、次の2つのメリットがあります。

①時間をかけて対応を考えられる
②少し時間を置くことで、気持ちを落ち着かせられる
③相手が目の前にいないから落ち着いてやりとりできる

必要なことは「メールでお願いします」「後でメールでます」のひとことだけ!ほんの少しの工夫でずっと楽に人と関われるようになりますよ!

おわりに

この記事では、アサーショントレーニングから「お願い」されたときに活躍する交渉術「DESC法」を紹介しました!

記事のポイントは次の通りです!

✔︎私たちは断れないように教育されている!
✔︎お願いは断わらないで「交渉」する。その方法がDESC法!
✔︎「交渉」するときは、提案の前に丁寧に状況を説明するのが大事!
✔︎対面で直接交渉するのが大変なときは、「メールでお願いします」と言ってみる!

ストレスフリーな社会生活のお役に立てると嬉しいです!

To be continued.

参考・引用

平木典子(1993).アサーショントレーニング-さわやかな自己表現のために-.日精研心理臨床センター.
平木典子(2007).自分の気持ちをきちんと〈伝える〉技術.PHP.
平木典子(2015).マンガでやさしくわかるアサーション.JMAM.

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この記事を書いた人

License:臨床心理士/公認心理師
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