【アサーションの権利】私達には自分を大切にする権利がある!こころが楽になる考え方をしよう(ABC理論)

アサーションの権利

2022.07.05掲載

✔︎誰かと一緒にいるといっつも我慢ばっかり。もうこんなの嫌だよ!

✔︎自分の意見が言えなくて、いつも人の言いなりになっちゃう。こんなのもう疲れた!

✔︎上司やお客さんにどうしても意見できない。自分にだって考えがあるのに。もう我慢したくない!

「こんなこと言ったらどう思われるかな…」「断ったら嫌われるかも…」そう思うと、ついつい相手の言いなりになったり、流されたりしてしまう。

本当は嫌なのに!!
本当は断りたいんだ!!

こころの叫びとは裏腹に、我慢を重ねてしまう。そんな人はとっても多いですよね。

私たちは幼い頃から「誰かの言うことを聞くのが良いこと」「集団の輪を乱さないことが大切」という価値観のなかで生活しています。そのため、どうしても自分よりも相手や集団を大切にしがちです。

でも、それが辛いんですよね…

この記事では、「アサーショントレーニング」から、「私たちには自分を大切にする権利がある」こと、そして、「自分を大切にするコツ」を紹介します!記事を読むと、明日から使える「自分を大切にする考え方」を知ることができます!

アサーショントレーニングってなに?ということについては、こちらの記事で詳細に解説しています!

writer

ライターは臨床心理士の資格を持っていて、心理職として仕事をしてきました。心理職のお仕事には、講演や特別授業を通したこころの元気に役立つ情報発信も含まれます。なかでも、「人付き合い」や「人との関わり方」は、僕が「誰かの役に立つ」と信じて発信してきた情報のひとつです。今回はその内容を記事にしてまとめていきたいと思います!

目次

アサーションの権利ってなに?

自分を大切にしても良い

アサーションの権利

「アサーションの権利」とは、自分と相手を大切にする権利のことです。

アサーショントレーニングでは、自分も相手も大切にできる関わり方ができるようになることを目指します

そのためには、まず、あなたが「自分を大切にして良い」ということを知ることが重要です。

アサーションの権利は次の5つです。

✔︎私たちは、誰からも尊重され、大切にしてもらう権利がある。

✔︎私たちは、誰もが他人の期待に応えるかどうかなど、自分の行動を決め、それを表現し、その結果について責任を持つ権利がある。

✔︎私たちは誰でも過ちをし、それに責任を持つ権利がある。

✔︎私たちには、支払いに見合ったものを得る権利がある。

✔︎私たちには、自己主張をしない権利もある。


平木典子(1993).アサーショントレーニング-さわやかな自己表現のために-.日精研心理臨床センター.から引用

アサーションの権利を要約すると

先にも述べましたが、アサーションの権利とは、自分と相手を大切にできる権利です。

この記事の目的は「自分を大切にできるようになる」ですので、「相手を大切にする」という話は一旦脇に置いておきます。

そうしてアサーションの権利を要約すると、①自分のことを大切にして良い②他人から大切にされて良い③主体的に生きて良いという3つの柱を見つけることができます。

一見すると当然のことですよね。

でも、その当然のことができないから、私たちは苦しいんです!

なぜ当然のことができないのでしょう…

それは、私たちのこころにこびり付いている歪んだ考え方があるからです。

次はそのことについて詳しく見ていきましょう!

なんで自分を大切にできないの?

捕われ

ABC理論

アサーショントレーニングでは、人のこころの捉え方についてABC理論という考え方を採用しています。

ABC理論のABCは、それぞれA:Activating event(出来事)B:Belief(信念)C:Consequence(結果)の略です。

私たちは、なにかしらの出来事が生じると、その出来事に対して信念を発動させます。そうして、信念に乗っ取った行動や反応が結果として生じます。

ABC理論のキモはB:Belief(信念)です。つまり、何かしらの出来事が生じたとき、あなたがその出来事に対して、どのような信念をもって行動を起こすか。そこがキモになるのです。

この信念によって、あなたが自分を大切にできるかどうかが決まります。

もう少し具体的に見てみましょう!

あなたもこうなっていませんか?自分を大切にできない人の具体例

自分を大切にできない人が先輩に頼まれごとをされたときの様子を見てみましょう。

A:Activating event(出来事)

はあ、最近仕事が多くて大変だな。毎日残業してようやく回っている感じだ…

ねえ、〇〇君。この仕事を頼まれてくれないか?責任が大きいくて時間もかかる仕事だけど、いいかい?

B:Belief(信念)

ええ!?これ以上仕事が増えたらもうパンクしちゃうよ…
でも、上司の仕事は絶対に断っちゃダメだよね…

C:Consequence(結果)

わかりました。頑張ります。(はあ、もう無理だよ…)

そうか!助かるよ!じゃあよろしくな!

「上司の仕事は絶対に断っちゃダメ」その信念のせいで、キャパを超えて仕事を引き受けることになってしまいました。これでは、いずれこころも身体も壊してしまいますよね。

非合理な思い込み

アサーショントレーニングでは、自分を大切にできないのは、B:Belief(信念)に歪みが生じているからだと捉えます。この信念に生じた歪みを「非合理な思い込み」と呼びます。

先の例だと、「上司の仕事は絶対に断ったらダメ」という信念が非合理な思い込みです。

え?上司の仕事って断っても良いの?

と疑問に思ったあなた。それはすでに非合理な思い込みにとらわれています。

だって、上司の仕事は断ったらダメって、そんな決まりありますか?

例えば、自分にできるキャパを超えて仕事を引き受けることは、自己管理ができないから悪いこと。そう考えたって良いはずなんです!

非合理な思い込みの種類

この非合理な思い込みには、実はとってもたくさんの種類があります!次に挙げていきますね。

✔︎人は誰からも愛され、常に受け入れられているようであらねばならぬ。

✔︎人は完全を期すべきで、失敗をしてはならない。

✔︎思い通りに事が運ばないのは致命的なことだ。

✔︎人を傷付けるのは良くない。だから、人を傷つけるような人は責められるべきである。

✔︎危険で、恐怖を起こさせるようなものに向かうと、不安になり、何もできなくなる。

この定義だけ見るとちょっと極端に見えるかもしれませんが、次のような考え方はどうでしょう。

✔︎上司に嫌われたらダメ!好かれなきゃ!

✔︎ミスはいけないこと!完璧に仕上げなきゃ!

✔︎出る杭は打たれるから。大人しく言いなりになってるのが一番!

これは、多くの人が共通して持っている考え方ではないでしょうか。

僕もよく思ってます!

一見普通の考え方のようだけど、実は、その考え方が私たちを苦しめている。そのことに気づくのが、自分を大切にする第一歩です!

自分を大切にするコツ

顔を上げて

自分を大切にできる考え方をしよう

では、どうしたら自分を大切にする考え方ができるのでしょう。

その答えは「べきをやめる」です!

私たちは、毎日の生活のなかで、いつの間にか「〇〇すべき」と考えています。

例えば先の例だと

✔︎上司に嫌われたらダメ!みんなに好かれなきゃ!
→好かれるべき!

✔︎ミスはいけないこと!完璧に仕上げなきゃ!
→完璧にするべき!

✔︎出る杭は打たれるから。大人しく言いなりになっているのが一番!
→大人しくするべき!

この「べき」は、幼い頃から私たちの隣にいます。ですから、もうすでにあなたの一部になっていて、そこにいることに気づけません。

でも、実は違うんです。「べき」は、本当のあなたじゃない

本当のあなたは「好かれるべき」や「完璧にするべき」に疲れているし、「大人しくするべき」がとっても窮屈に感じているはずです。

どうすれば自分を大切にできる考え方ができるの?

自分を大切にしようと考えたら、自分のなかの「べき」をみつけて「ほどほど」に修正することを意識してみましょう。例えば次のように。

✔︎上司に嫌われたらダメ!好かれなきゃ!
→上司に好かれるに越したことはないけど、まあ嫌われなければそれでいいや。

✔︎ミスはいけないこと!完璧に仕上げなきゃ!
→完璧にできたら良いけど、ミスしても後で修正すれば良いや。

✔︎出る杭は打たれるから。大人しく言いなりになってるのが一番!
→大人しくしてた方が良いんだろうけど、我慢するくらいなら自分の意見も言って良いかな。

ここでちょっと難しいのは、あなたの中の「べき」を見つける作業です。

先に書いた通り、「べき」はあなたの一部ですから、違和感を持つことができないのです。

れでも見つける方法はあります!

最近嫌だったことを振り返ってみる

人間関係のなかで、「嫌だったな…」と思うときは、あなたのなかの「べき」が発動している可能性があります。渦中にいるときは難しいかもしれませんが、「あのときなんで嫌な気持ちになったんだろう」とあとで振り返ってみると、そこに「べき」が潜んでいるのを見つけることができるかもしれません。

この間友達に髪型をいじられてすごく嫌な気持ちになった…
そっか。あのとき「冗談は笑って返すべき」って思っていたな…

日記をつけて後で読み返すという方法もありますよ!

誰かに相談してみる

嫌なことがあったとき、ひとりでそのことを考えると、嫌な気持ちがぐるぐると頭を駆け巡ってまったく前に進めなくなる。そんなときは、誰かに話を聞いてもらうことで、少し落ち着いて客観的に自分の気持ちを見つめることができるようになります。

言葉にするということは、内側にあるものを外側に出してあげる作業です。気持ちもスッキリして、おちついて自分のことを振り返れます!

おわりに

この記事では、アサーショントレーニングから「自分を大切にする権利」としてアサーションの権利を紹介しました!

記事の詳細は次の通りです。

✔︎アサーションの権利は、誰もが持っている「自分を大切にする」権利!
✔︎私たちは「べき」に支配されて自分を大切にできない!
✔︎自分を大切にするには「ほどほど」を意識しよう!
✔︎「べき」に気づくコツ① 最近の「嫌だったこと」を振る帰る!
✔︎「べき」に気づくコツ② 他人に話してみる!

この記事があなたのお役に立てることを願っています!

参考・引用

平木典子(1993).アサーショントレーニング-さわやかな自己表現のために-.日精研心理臨床センター.
平木典子(2007).自分の気持ちをきちんと〈伝える〉技術.PHP.
平木典子監修(2018).対人関係のスキルを学ぶワークブック.培風館.

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この記事を書いた人

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