【アサーショントレーニング】自分も相手も大切にする関わり方|人付き合いの技術を紹介

アサーション まとめ

2022.06.28掲載

✔︎上司、同僚、友達、断るって本当に苦手。でも、もう我慢したくない!

✔︎いっつも周囲とぶつかっちゃう。もっと優しく人と関われないかな!?

✔︎もっと周りの人と仲良くしたいのに、どうしたら良いかわからない!

「断れない…」「いつも人とぶつかる…」「言いたいことが言えない…」「仲良くしたいのに話が続かない…」悩みの質はそれぞれですが、「人との関わり方」に悩んでいる人はとても多いです。

もっと上手に人と関われるようになりたい!!

みんなが持っている願いです。でも、どうしたら良いかわからない。そう思いながら今日まできたのではないでしょうか。

今までおつかれさまでした…

この記事に辿り着いたあなたはもう大丈夫!そんな人間関係の悩みを解決してくれる心強い味方を紹介します!その名は、「アサーショントレーニング」

なんで人と関わるのが大変か。その答えは単純で、自分か相手、どちらかに我慢を強いているからです。だから人間関係が苦しくなる。では、上手に人と関わるにはどうしたら良いか。その答えもやはり単純。自分も相手も大切にすれば良いのです!そうして、自分にとっても相手にとっても心地よい関わりができるようになると、自然と豊かな人間関係が育めます

「アサーショントレーニング」は、「自分も相手も大切にできる関わり方」ができるようになるためのプログラムです!この記事では、アサーショントレーニングについて解説していきます!記事を読むことで、「自分も相手も大切にする関わり方」のヒントを手に入れることができます!

Writer

ライターは臨床心理士の資格を持っていて、心理職として仕事をしてきました。心理職のお仕事には、講演や特別授業を通したこころの元気に役立つ情報発信も含まれます。なかでも、「人付き合い」や「人との関わり方」は、僕が「誰かの役に立つ」と信じて発信してきた情報のひとつです。今回はその内容を記事にしてまとめていきたいと思います!

目次

アサーショントレーニングってなに?

アサーショントレーニング

アサーショントレーニングについて

アサーショントレーニングとは、「自分も相手も大切にできる関わり方」を訓練するものです!

アサーショントレーニングを学ぶと、「自分も相手も大切にできる」心地よい人との関わり方を実践できるようになります。現代は、大人も子どもも人との関わり方に苦手意識を持つ人が多く、アサーショントレーニングの需要がとっても大きいです。

例えば、次のような場所で、アサーショントレーニングが行われています!

✔︎小・中・高・大学で開かれる人間関係作り講座

✔︎一般企業で行われるメンタルヘルス教育

✔︎カウンセリングなど、心理支援の現場で行われるこころの健康教育

人との関わり方の3つのタイプ

アサーショントレーニングでは、人との関わり方には次の3つの方法があるとしています。

✔︎攻撃的な関わり方
✔︎非主張的な関わり方
✔︎アサーティブな関わり方

攻撃的な関わり方は、相手を避難するような関わり方、非主張的な関わり方は、人間関係のなかで我慢してしまうような関わり方、アサーティブな関わり方は、自分も相手も大切にできる関わり方です。

基本的に、私たちは「攻撃的」もしくは「非主張的」な関わり方をしています。

例えば、同僚に無理な仕事を押し付けられたとき、攻撃的な人は「自分でやれ!」と相手を非難て拒絶します。非主張的な人は「わかった…」と自分を押し殺して相手の要求を飲み込んでしまいます。

仕事を押し付けられたとき、上手に対応できる人って少ないですよね!

なんで「攻撃的」「非主張的」な関わり方しかできないの?

では、なぜ私たちはこんなに偏った関わり方しかできないのでしょうか。

それは、「攻撃的」もしくは「非主張的」な関わり方は、あなたが今まで経験してきた人間関係のなかで培った生き延びるための方略だからです!

例えば、あなたは小学生のとき、「お利口さん!」と褒めてもらいたくて、両親や先生の言うことを聞いていませんでしたか?そのとき、あなたが本当はどう思っているかは関係ありません。同様のエピソードはどこにでもあります。そんなありふれた経験があなたの中に「非主張的」な関わり方のパターンを育てています。

「お利口さん!」と褒めてもらうのは、大人と関わっていくためには大切なことです。「おばかさん!」と毎日言われ続けるのは、とってもストレスですから…生き延びるために、必要なんです。

アサーショントレーニングが目指すもの

アサーショントレーニングは、「攻撃的」もしくは「非主張的」な自己表現しかできなかった人が、アサーティブな(自分も相手も大切にできる)関わり方ができるようになることを目指します。そのために、基本的な理念を定めたり、こころのメカニズムを考えたり、実際の関わり方のスキルを紹介したりします!

詳しくはこちらから

それでは、アサーショントレーニングについてより詳しく見ていきましょう!

なんで自分を大切にできないの?

自分を大切にできない

アサーションの権利

アサーショントレーニングでは、私たちは誰もが次の権利を持っているとしています。

✔︎私たちは、誰からも尊重され、大切にしてもらう権利がある。

✔︎私たちは、誰もが他人の期待に応えるかどうかなど、自分の行動を決め、それを表現し、その結果について責任を持つ権利がある。

✔︎私たちは誰でも過ちをし、それに責任を持つ権利がある。

✔︎私たちには、支払いに見合ったものを得る権利がある。

✔︎私たちには、自己主張をしない権利もある。

平木典子(1993).アサーショントレーニング-さわやかな自己表現のために-.日精研心理臨床センター.から引用

ここには、私たちは自分のことを大切にして良いし、他人から大切にされて良いということ。そして、主体的に生きて良いということが書かれています。

一見すると、当然のことのように思えます。でも、そんな当然のことができない。それはなぜか。

その答えは、私たちのこころにこびりついている歪んだ考え方があるからです。

権利行使の邪魔をする私たちの思い込み

ABC理論

アサーショントレーニングでは、人のこころの捉え方について、ABC理論という考え方を採用しています。

ABC理論のABCは、それぞれA:Activating event(出来事)B:Belief(信念)C:Consequence(結果)の略です。

例えば、「同僚に仕事を頼まれた」という出来事(A)に対して、「頼まれた仕事は断ってはいけない!」という信念(B)が発動する。その結果(C)、我慢して仕事を引き受けるという図式です。

アサーション権は、信念(B)を優しくサポートします。「断っても良い」「間違っても良い」そうして自分に優しくしてあげることがなによりも大切です。

詳しくはこちらから

なんで相手を大切にできないの?

押し殺した感情

怒りの感情が爆発してしまうから

「攻撃的」な関わり方をしてしまう人には共通点があります。それは、「怒り」の感情が関係のなかで爆発しているということです。

私たちが持っている感情のなかで、一番扱いに難儀するのが「怒り」です。私たちの多くは、成長する過程で「怒りは表現してはいけない」という価値観を植え付けられています。するとどういうことが起きるか…怒りが爆発するまでこころの中に閉じ込めるようになってしまいます

「イライラする…でも、表に出すとみんなが嫌な気持ちになるから…」

そうして密閉されたこころに閉じ込められた怒りは、あなたの養分を吸い上げ、どんどん膨らんでいきます。そして、限界に達すると、こころの扉を突き破って表に暴れ出ます。

怒りの感情全てが人を傷付けるわけではない

実は、怒りの感情の全てが人を傷付けるわけではありません。こころに閉じ込めたばかりの怒りは、まだ赤ちゃんです。「イライラするな…」「ちょっと嫌な気持ちになっちゃったな…」これくらいであれば、まだ自分も相手も傷つけることはありません。この怒りの赤ちゃんを上手に関係のなかで表現できるようになると、自分も相手も大切にできる関わり方ができるようになります。

自分のこころを冷静に観察して「怒りの赤ちゃん」を見つけたら優しく拾い上げてみてください!

怒りの後ろにある感情

実は、「怒り」という感情は、生まれたときから「怒り」だったわけではないんです。

怒りは二次的感情と呼ばれるもので、あなたのこころを脅かす一次的感情が生じたときにこころの安寧を守るために生じる感情です。

一次的感情とは、例えば「寂しさ」「不安」「孤独」「恐怖」といった感情です。

これらの感情は、私たちの本能を刺激します。そして「このままだと危険だよ!」「ひとりぼっちになっちゃう!」「大変なことになっちゃうよ!」そんなメッセージを発します。すると、こころは「怒り」を産み落とし、自分を守ろうとします。そのとき、「怒り」が本当に私たちに安寧をもたらすのかどうかは関係ありません。こころとはそういうののなのです。

一次的感情を上手に表現できれば怒りが生まれることはありません!

詳しくはこちらから

自分も相手も大切にできる2つのスキル ①アイメッセージ(iメッセージ)

大事なのは伝えること

アイメッセージってなに?

アサーショントレーニングでは、自分も相手も大切にできる関わり方の技術が紹介されています。そのひとつがアイメッセージです!

アイメッセージとは、主語が「i」のメッセージ。つまり、「私は」からはじまるメッセージです!「私は」から始めることで、どんなメッセージも不思議と、やわらかな印象を相手に与えることができるようになります

例えば、遅刻を注意するとき次の2つの言い方、どちらの方が受け入れやすいでしょうか。

「社会人なのに時間を守れないなんて(おまえは)ダメだぞ!」
②「社会人なんだから、時間を守るべきだって(私は)思うんだ。」

多くの方が後者を選ばれると思います。

「おまえは」が主語になると、どうしても自分の意見を相手に押し付けていると言う構造になってしまいます。このようなメッセージを、アサーショントレーニングでは「ユーメッセージ(youメッセージ)」といいます。

一方、「私は」が主語になるということは、あくまで自分の意見を述べているだけです。受け取るか受け取らないかはあなた次第。そうした、選択の自由があるメッセージを送ることができるのです。

アイメッセージを使いこなすコツ

実は、同じアイメッセージでも、「攻撃的」な関わり方をする人と「非主張的」な関わり方をする人とでは少し使い方に違いがあります。

✔︎攻撃的なあなたは、普段のコミュニケーションで「ユーメッセージ」が多く使われている傾向があります。ですので、いつものやりとりのなかで、意識して主語を「あなたは」にしてみると良いです!

✔︎非主張的なあなたは、そもそもメッセージを発信できていないことが多いです。ですから「私は」と言えば相手に嫌な思いをさせない!そう信じて、自分の気持ちを表現してみてください!

いつもの関わり方を変えてみるのか、勇気を出して関わってみるのかに違いがあるんです!

アイメッセージは絶対じゃない!

とはいえ、アイメッセージが絶対というわけではありません!運動部の監督が「素振りをして欲しいと(私は)思っている!」って叫んでも、なんだかしまらないですよね。やはり監督は「(おまえたち)素振りはじめ!」がしっくりきます。

時と場合に応じて使い分けられるようになると良いですね!

詳細はこちらから

自分も相手も大切にできる2つのスキル ②DESC法

僕と君との中間地点

DESC法ってなに?

DESC方は交渉のテンプレートです!交渉といっても、商品の値段交渉やビジネスでの交渉ではなく、「頼まれごとをしたとき」に使える交渉です!

ちょっと無理なお願いをされたとき、引き受けてしまうと自分の負担が大きくなります。かといって、拒絶してしまうと、相手にとって負担になります。そんなときに役立つのがDESC法「交渉」しながら折り合いがつくところを探して、お互いのこころの負担を軽くします!

DESC法のDESCは、D:Describe(描写する)、E:Express/Explain/Empathize(表現する、説明する、共感する)、S:Specify(特定の提案をする)C:Choose(選択する/選び取る)の略です。

DESC法では「お願いごと」をされたとき、今の状況を「説明」して、自分にできることを「提案」する。そして、お互いの「妥協点」について話し合います

そう聞くと難しそうですが、D→E→S→Cと順に進めていくことで、案外簡単に交渉ができる。そんなテンプレートです!

私たちは断れないようにできている

そもそも、私たちは「言うことを聞いてお利口さん!」なんて言われながら育ってきているので、基本的に「頼まれたら断っちゃダメ!」という価値観を持っています。もちろん、子どものときはそれで良いです。でも、大人になると、「断った方が良い」こともたくさん出てきます!

例えば、無理に仕事を引き受けすぎると、業務過多でこころも身体もすり減ってしまいます!

断れないから、提案をしましょう!

そうはいっても「断る」って大変「断る」と胃が痛くなっちゃう。普通の人はそうなります。だから、「交渉」です!「自分はここまではできますよ。でも、ここからはちょっと無理です。」そうした線引きをしながら、相手と折り合いをつけていく。それを助けてくれるのがDESC法です!

詳しくはこちらから

おわりに

この記事では、自分も相手も大切にできる関わり方の訓練技法「アサーショントレーニング」についてまとめてきました。

記事のポイントは次の通りです!

✔︎アサーショントレーニングは、自分も相手も大切にできる関わり方の訓練技法!
✔︎私たちは幼い頃からの経験の積み重ねで「攻撃的」「非主張的」な関わり方しかできなくなっている!
✔︎私たちには、自分も相手も大切にする権利「アサーション権」がある!
✔︎相手を大切にできないのは、私たちが「怒って」いるから!
✔︎アイメッセージは柔らかく自分の考えや気持ちを相手に伝える技術!
✔︎DESC法は「お願い」されたときに折り合いをつける交渉スキル!

この記事があなたのお役に立てることをこころより願っています!

参考・引用

平木典子(1993).アサーショントレーニング-さわやかな自己表現のために-.日精研心理臨床センター.
平木典子(2007).自分の気持ちをきちんと〈伝える〉技術.PHP.

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この記事を書いた人

License:臨床心理士/公認心理師
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