【ストレスマネジメント】大変な毎日はもう嫌だ!ストレスのメカニズムとコーピングスキル(対処法)

ストレスマネジメント アイキャッチ

2022.07.19.掲載

✔︎毎日職場で嫌なことばかり…なんだか、もう嫌になっちゃったな。

✔︎心配なことがたくさんある。なんだか元気が出ないよ…

✔︎最近イライラすることが多くて、なんだか夜も眠れない。これってストレスが原因なのかな?

人間関係、仕事、将来、私たちの毎日はストレスと共にあるといっても過言ではありません。ストレスは、私たちのこころを強く圧迫します。

もう、こころが押しつぶされそう!

ストレスが悪さをするのはこころだけではありません。ストレスを感じすぎると、こころを経由して身体にも不調が出てきます。そんな毎日を今よりちょっと穏やかに過ごすために。この記事ではストレスマネジメントについて解説します。

ストレスマネジメントは、ストレスと上手に付き合うための知恵です!記事を読むことで、明日は今よりちょっと、ストレスとの付き合い方が上手になっています!

Writer

ライターは臨床心理士の資格を持っています。臨床心理士の仕事には、講演や特別授業を通じたこころの健康に関する情報提供も含まれます。そのなかでもストレスとの上手な付き合い方は、ライターが何度も取り組んだ、大きなテーマのひとつです!この記事では、そうした取り組みを文章にしてまとめていきたいと思います!

早速内容を見ていきましょう!

目次

ストレスってなに?

ストレスってなに?

ストレスの定義

ストレスという言葉は、元々物理学の用語で、「物体にかかる圧力」のことでした。今は、その言葉がこころにも転用されています。つまり、ストレスとはこころにかかる負荷(圧力)です。

こころに負荷がかかると、こころを経由して身体にも不具合が生じてきます。

✔︎こころの不具合としては、気持ちが落ち込むイライラするなどが挙げられます。
✔︎身体の不具合としては、節々の痛みなかなか寝付けない朝起きるのが辛いなどが挙げられます。

物体にかかる圧力と違い、こころにかかる圧力は目に見えないものですから、私たちは上手に把握して対策をこうじなくてはなりません。そのためには、ストレスのメカニズム、そして対処法について整理する必要があります!

【ストレスのメカニズム】ストレッサーとストレス反応

ストレッサーとストレス反応

ストレスのメカニズム

ストレスは、実は少し複雑なメカニズムからできています。そのメカニズムとは、①ストレッサー②ストレス反応です。私たちがいつも使っているストレスという言葉は、この2つの機構の総称です!

ストレッサーとは

ストレッサーとは、私たちのこころに負荷をかける様々な刺激や、その刺激の素です。

ストレッサーには、人間関係や仕事でのトラブル、金銭トラブルといった、私たちに嫌な気持ちを喚起させるエピソードをはもちろんのこと、部屋が暑かったり、満員電車が窮屈だったり、隣の人が臭かったりといった、自分の力ではどうしようもない、環境から受ける負荷も含まれます。

そして、実は、ストレッサーになるのは必ずしも悪い出来事や刺激だけではありません。結婚、就職、進学など、一見して嬉しい環境の変化もストレッサーになり得ます。どのようなものであれ、私たちは環境の変化には弱いものです。

私たちの身の回りには、ストレスが溢れかえっています!

ストレス反応とは

ストレス反応とは、ストレッサーに曝されることで生じるこころと身体の反応のことをいいます。

多くの場合、私たちはストレッサーに曝され続けると、ストレス反応として不快な、場合によっては社会生活に支障をきたしてしまうような反応をします

ストレス反応は、大きくわけて①こころ②身体③行動の3つに現れます。

①こころに現れるストレス反応
✔︎イライラが続く
✔︎不安が消えない

②身体に現れるストレス反応
✔︎節々の痛み
✔︎食欲不振

③行動に現れるストレス反応
✔︎ミスが多くなる
✔︎飲酒や喫煙量の増加

これらのストレス反応は、ひどくなると病院にかかる必要が出てきてしまいますので、できれば早めに対処してしまいたいものです。

詳しくはこちらから!

ストレッサーとストレス反応については、こちらの記事で詳しく解説しています!

どうにかできると思えればストレスにはならない!

認知的評価理論

ストレスの認知的評価理論

ストレスの認知的評価理論は、私たちのこころにかかる負荷や刺激が、全てストレッサーになるわけではないという話です。

例えば、上司から仕事を頼まれたとき「これなら問題なくこなせる!評価もあがる!」と考える場合と、「これ自分の手に余るぞ…評価が下がっちゃう…」と考える場合では、こころの負荷がだいぶ違います

実は、私たちはこころに負荷がかかる出来事に遭遇するとその出来事がを吟味します。そして、その出来事が脅威であり、かつ自分では対処できないと判断したとき、はじめてストレスを感じるのです。これらはそれぞれ、一次的評価・二次的評価という名前がついています。

✔︎その出来事が脅威かどうか(一次的評価)
✔︎その出来事が自分で対処できるかどうか(二次的評価)

一次的評価

こころに負荷がかかる出来事に遭遇したとき「この出来事が脅威であるかどうか」を吟味すること一次的評価といいます。

上司から頼まれる仕事にはいろいろな種類があります。例えば、「ちょっとコピーしておいて!」というような簡単な仕事から「支店の売り上げを翌月まで1.5倍にするように」といった責任を伴うものまで…

当然、責任を伴う仕事は脅威です。なぜなら、責任を果たせなかったとき、あなたの評価が下がってしまうから。このように、「自分にとって脅威」と判断された出来事は、ストレッサーとして認知されます

二次的評価

こころに負荷がかかる出来事に遭遇したとき「自分で対処できるかどうか」を吟味すること二次的評価といいます。

例えば、「支店の売り上げを翌月まで1.5倍にする」というミッションを上司から受けたとします。このとき、全く勝算がなければ、あなたは、このミッションを脅威と認定するでしょう。

しかし、なんらかの施策でほぼ確実に勝算があると判断できれば、あなたはミッションに対して脅威を感じることはありません。そんなとき、上司から受けたミッションはただのタスクとして処理され、あなたのこころに負荷をかけることはありません。

ストレスを感じているとき、何からストレスを感じているのかよく吟味してみると、案外対処可能で、こころが落ち着くことも多いです!

詳しくはこちらから!

ストレスの認知的評価理論の詳細についてはこちらをご覧ください!

ストレス対処法の二大巨頭!問題焦点型/情動焦点型コーピング

コーピング

ストレス対処法の二大巨頭

私たちがストレスに対処することをストレスコーピングと呼びます。そして、このストレスコーピングには、大きく分けて「①問題焦点型コーピング」「②情動焦点型コーピング」の2つの種類があります。

問題焦点型コーピング

問題焦点型コーピングは、ストレスの原因に直接対処する方法です。

例えば、職場で配属された部署の人間関係がとても苦痛で、ストレスの原因になっていたとします。そんなとき、人事部に事情を話して部署移動をしてもらうことで解決した。このようなとき、問題焦点型コーピングが行われたといえます。

問題に直接働きかけるので、成功すれば、ストレスを軽減したり、ストレスの原因を取り除くこともできます。

情動焦点型コーピング

情動焦点型コーピングは、ストレスでまいったこころを元気にする方法です。

例えば、職場で嫌なことがあって元気を無くしているとき、気晴らしにドライブに行って少し元気になった。このようなとき、情動焦点型コーピングが行われたことになります。

問題が解決したわけではありませんが、ストレスに曝されて弱ったこころを元気にするというのも、ストレスに対処する大切な方法のひとつです。

詳しくはこちらから!

問題焦点型コーピング・情動焦点型コーピングについては、こちらの記事で詳しく解説しています!

次に、問題焦点型コーピングの具体的な方法を解説していきます。

問題解決スキル①PDCAサイクル

PDCAサイクル

PDCAサイクルってなに

問題焦点型コーピングのひとつめは、PDCAサイクルです!

PDCAサイクルとは、試行錯誤のテンプレートです。
※試行錯誤とは、失敗を繰り返しながら、段々と目的に近づいていくことをいいます。

PDCAサイクルのPDCAは、①Plan(計画)②Do(実行)③Check(評価)④Act(改善)の略です。試行錯誤といいながら、ただがむしゃらに行動するのではなく、計画して、実行して、評価して、改善して…と、PDCAの順序に沿って行動することで、より良い結果を得ることができます!

PDCAサイクルでできること

PDCAサイクルは、「自分の力で解決できる可能性がある」問題の対処に役立つ方法です。例えば、仕事や勉強をどう処理するかといった現実的な問題。家計の出費のコントロールのような、個人の工夫で調節可能な問題などです。

PDCAサイクルでできないこと

PDCAサイクルは、「自分の力だけでは解決が難しい」問題への対処については苦手分野です。例えば、人間関係などは、お互いの相性などの問題も重なって、ひとりでがんばると逆に拗れてしまう可能性もあります。

自分がが取り組もうとしている問題がどの類のものなのか、しっかり見極めること大切です!

詳しくはこちらから!

PDCAサイクルについては、こちらの記事で詳しく解説しています!

問題解決スキル②ソーシャルサポート

ソーシャルサポート

ソーシャルサポートってなに?

ソーシャルサポートとは、頼れる人を見つけて、実際に助けてもらうことを言います。

あなたは「頼れる人」を思い浮かべようとしたとき、誰かの顔や名前を思い浮かべることができますか?これって、実は結構難しいです。1人思い浮かべれられれば上等。なんなら、すぐには誰も思い浮かべられないという人だって少なくないはずです。

それくらい、私たちは人に頼ることができないのです。

誰に頼れば良いの?

実は、私たちの周りにはたくさんの頼れる人がいます。例えば、家族、友人、先輩、後輩、学校、会社、地域、病院 etc…

このとき、盲点になりやすいのは、次の2つです。

①学校や会社
②地域

①会社や学校には産業カウンセラーやスクールカウンセラーなどの心理の専門家がいます。また、ハラスメント委員会など、困ったときの駆け込み寺のような窓口も存在します。

②地域には、実は知られていないだけで、たくさんの相談窓口があります。例えば、あまり知られていませんが、地域によっては、母子手帳に子育て相談に電話で応じてくれる機関の連絡先が載っていたりもします。

今はインターネットでどんな情報も収集できるので、なにか困りごとがあったら、まずは検索してみてください。必ずあなたに役立つ相談先が見つかります。

何を頼れば良いの?

相談下手な方は、そもそも何を相談したら良いかわからない。そう感じるかもしれません。

私たちには①道具的サポート②情報的サポート③情緒的サポートの3つの頼り方があります。

道具的サポートは、実際的な問題解決を助けてもらうことです。例えば、給料日前にお金がなくなってしまって、ご飯も食べられなくなってしまったとき、両親に相談して少し融通してもらうような場合です。

情報的サポートは、問題解決に役立つ情報提供です。例えば、突然の入院で高額な医療費がかかってしまったとき、病院のスタッフから医療費が還付される制度を教えてもらうような場合です。

情緒的サポートは、直接問題解決には繋がらないが、こころが元気になるような援助です。例えば、失恋で傷ついたとき、友人にドライブに連れて行ってもらい、ちょっと元気が出た。そのような場合です。

詳しくはこちらから!

ソーシャルサポートについては、こちらの記事で詳しく解説しています!

自分の周りにはどんな人がいて、どんなことを助けてもらえるのか、一度整理してみると良いですよ!

おわりに

この記事では、ストレスマネジメントをテーマに、ストレスのメカニズムと対処法についてまとめました!

記事のポイントは次の通りです。

✔︎ストレスとはこころにかかる負荷のこと!
✔︎ストレスには、ストレッサーとストレス反応という構造がある!
✔︎ストレスの原因が脅威でなく、対処可能な場合、こころに負荷はかからない!
✔︎ストレスの対処法には、原因を除去する問題焦点型コーピングと、こころを元気にする情動焦点型コーピングがある!
✔︎ストレスの原因を取り除くとき、試行錯誤のテンプレートであるPDCAサイクルが役に立つ!
✔︎自分でストレスの原因を取り除けないときは、ソーシャルサポートを使うと良い!

あなたの役に立てると幸いです!

参考・引用

厚生労働省『こころの耳』
伊藤絵美(2021).コーピングの優しい教科書.金剛出版.
伊藤絵美(2016). イラスト版 子どものストレスマネジメント 自分で自分を上手に助ける45の練習.合同出版.
長崎和則(2010).精神障害者へのソーシャルサポートの活用-当事者の語りの分析から-.ミネルヴァ書房.
林峻一郎編・訳(1990). R.S.ラザルス講演ストレスとコーピング ラザルス理論への招待.星和書店.
岡村拓朗(2017).自分を劇的に成長させる!PDCAノート.フォレスト出版.

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この記事を書いた人

License:臨床心理士/公認心理師
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