【臨床心理士】こころの支援の専門家|カウンセリングの資格とお仕事についてわかりやすく解説

臨床心理士 アイキャッチ

2022.08.05掲載

✔︎こころがしんどくて…専門家に相談したいんだけど、臨床心理士って信用できるの?

✔︎家族がこころの問題を抱えてる。自分のことじゃないんだけど、臨床心理士に相談していいの?

✔︎臨床心理士って、名前は聞くけど、実際どんな人かわからない。わかりやすく解説しているサイトはないかな?

こころの支援を受けようかな。こころの問題について相談しようかな。そう思ったとき、まず行き当たるのが、臨床心理士という資格です。

でも、臨床心理士ってよくわからない!ほんとに相談して平気?

そう思う人も多いですよね。

臨床心理士は、日本で初めてできた、「こころの支援」の専門家に与えられた資格です。歴史が長く、病院や学校、地域のなかで「こころの支援」を担当し、実践しています。そうした活動は今では広く認知され、社会的な信用もあります。この記事では、そんな臨床心理士について解説していきます。記事を読むと、臨床心理士について理解でき、相談することについて、少し具体的にイメージできるようになります!

Writer

ライターは臨床心理士と公認心理師の資格を持っていて、教育領域の心理職と専門学校や大学の講師の仕事をしてきました。心理職としての実体験と、講師の仕事で鍛えた伝える力を駆使して、臨床心理士の資格について知りたいあなたの疑問に答えられるような記事を書いていきます。

目次

臨床心理士ってどんな資格?

臨床心理士資格について

いつからできたの?

臨床心理士は、1988年に誕生した民間の資格です。もちろん、専門は「こころの支援」です。

資格ができてどうなったの?

臨床心理士資格ができたことで、次の2つができるようになりました。

✔︎こころの支援の専門家たちの生涯学習の場が確保された。

✔︎こころの支援の専門家が社会的信用を得られるようになった。

臨床心理士の資格ができるまで、こころの支援を仕事にする人たちは、ずっとばらばらに仕事をしていました。しかし、資格が整備されたことで、有資格者同士がお互いに助け合う組織を作ることができました

その組織は、「臨床心理士会」という名前で各地に拠点を起き、地域の有資格者に向けて、毎年たくさんの勉強会が企画・運営されています

また、広報誌などを通じて、社会に対して臨床心理士の活動を報告していくことも「臨床心理士会」の役割のひとつです。こうした地道な啓発活動を通じて臨床心理士の存在を社会に少しずつ認知してもらいながら、今の社会的信用を作り上げてきたのです。

多くの臨床心理士会は、公認心理師協会と名前を改め、現在も有資格者を力強く支えています。

臨床心理士の資格取得はとっても大変

臨床心理士の資格は、資格試験も大変ですが、何より、受験資格を得るのがとっても大変です。

臨床心理士の資格を取得するには、次の2つの条件を満たさなくてはなりません。

✔︎臨床心理士指定大学院の終了
✔︎臨床心理士試験の合格

大学院は2年間のプログラムです。この2年間、大学院生は、勉強に研究に実習にとてもハードに揉まれます。そうして受験資格を得た後、臨床心理士試験に合格してはじめて資格を取得できます。

臨床心理士試験の合格率はだいたい60%から65%です。

こうしたハードルを超えているという意味で、臨床心理士は、資格取得時点である一定の知識はあると判断して良いと思います。

詳しくはこちらから

臨床心理士についてのより詳しい解説はこちらをご覧ください。

臨床心理士は何をしてくれる?

専門業務

臨床心理士の4つのお仕事

臨床心理士には、次の4つのお仕事があります。

1)臨床心理査定
2)臨床心理面接
3)臨床心理的地域援助
4)上記3つに関する調査・研究

ひとつひとつ眺めていきましょう。

臨床心理査定

臨床心理査定とは、「クライエントについて知り、どのような支援ができるか仮説を立てる」ことです。これは、アセスメントと呼ばれることもあります。

例えばインフルエンザならインフルエンザウィルスをやっつける。尿管結石なら結石を取り除くといったように、体の問題なら原因を取り除けばそれでおしまいにできます。

でも、こころの問題は検査ができるものではありませんから、そう簡単に原因を特定することができず原因も必ず取り除けるとは限りません。そのため、「原因」を抱えながら、どう日々を生きていくかということについて、考える必要があります

臨床心理査定で、臨床心理士は、クライエントが抱える問題だけでなく、その人が持っている強み、人間性なども含めて多角的に把握して、どのように明日を生きるか、一緒に考える姿勢をとります

カウンセリングでは、初回に時間をかけてクライエントのお話しを聞きながら、アセスメントをしていきます。

臨床心理面接

臨床心理面接は、カウンセリングや心理療法のことです。

一言で「心理療法」といっても、そのかたちは様々です。1対1で行う「いわゆる」カウンセリングのようなかたちもあれば、集団で語り合うようなものや、みんなでレクリエーションをするようなものもあります。

また、カウンセリングや心理療法には様々な流派や問題に対するアプローチの型があって、臨床心理士は自分にあった流派や型を探して学び続けています。

詳しくはこちらから

「臨床心理査定」と「臨床心理面接」の詳細についてはこちらをご覧ください。

臨床心理学的地域援助

臨床心理学的地域援助は、コンサルテーションです。

コンサルテーションとは、ある専門家が、別の専門家にアドバイスをすることです。

一番わかりやすいのが、スクールカウンセラー(心理の専門家)が、教師(教育の専門家)にこころの支援に関する助言を行うときでしょうか。とはいえ、専門家といっても、なにかの資格がないといけないわけではなく、その範囲は広いです。例えば、「親は自分の子どもの専門家」といったように、こころの問題を抱えている人の身近な関係者をコンサルテーションの対象として捉えます

コンサルテーションは、こころの問題を抱えた人の身近な関係者を通じて行う間接的な支援といえます。

なお、臨床心理士は次のような領域を深く学んでいます。

✔︎臨床心理学
✔︎子どもの発達
✔︎発達障害
✔︎カウンセリング
✔︎心理療法

などなど

調査・研究

臨床心理士が行う調査・研究は、「より良いこころの支援を目指す」という目的があります。そして、そうした調査・研究の成果は、学会や、地域の職能団体の広報などで有資格者同士で共有されます。

もちろん、全ての臨床心理士が調査・研究と実践を両立しているわけではありませんが、学会誌など、調査・研究の成果を読む力は、大学院時代に培われています。そのため、臨床心理士は、常に新しい支援や支援の深い部分にアクセスする力があります

詳しくはこちらから

「臨床心理学的地域援助」と「調査・研究」の詳細についてはこちらをご覧ください。

おわりに

この記事では、「臨床心理士」について詳しく解説してきました。

記事のポイントは次の通りです。

✔︎臨床心理士は1988年にできた日本で初めてできた「こころの支援」の資格!
✔︎臨床心理士ができたことで有資格者の生涯学習の場ができ、社会的信頼が向上した!
✔︎臨床心理士には「臨床心理査定」「臨床心理面接」「臨床心理学的地域援助」「調査・研究」の4つの専門業務がある!

記事があなたのお役に立てることを願っています!

参考・引用

下山晴彦編(2009).よくわかる臨床心理学.ミネルヴァ書房.
田中富士夫編著(1996).臨床心理学概説.北樹出版.
植村勝彦 他編(2006).よくわかるコミュニティ心理学.ミネルヴァ書房.
日本臨床心理士資格認定協会HP

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